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院長のぐぶやき「しくれのんどりーむ」

こころのケア質問箱「ふれあい」

2013年9月18日 |

『 こころのケア質問箱「ふれあい」 』を設置しました。精神科医として可能なかぎり質問にお答えします。

〔質問〕 

「 17歳の孫がいます。温和な性格です。今春頃より言動がおかしく、幻聴、幻覚があり 7月中旬、近所の精神科医院を受診して、統合失調症と診断されました。ジプレキサ 5mg を 2週間投与後、ジプレキサ10mg を 1日1回服用しています。最近、昏睡かと思う程、熟睡しており、両親は会社勤め、本人は学校の都合で起こさねばならず大変苦労しているそうです。この薬、非常に強く、怖い作用があるらしく、心配ですが、このまま続けねばならないのでしょうか。」

〔お答え〕

「 統合失調症は、通常思春期ないし青年期早期に発症し、幻覚、妄想などの陽性症状と、無為自閉、感情鈍麻などの院生症状を呈する疾患です。発症率は 0.8~0.9%と言われ、100~120人に 1人発症します。統合失調症の障害は、一般的には、思考と知覚の根本的で独特な歪み、および状況にそぐわない鈍麻した感情によって特徴づけられます。急性期には、滅裂思考、注察・被害妄想、幻聴などの思考や知覚の異常、興奮、焦燥などの情動の異常、そしてさせられ体験などの自我障害が、主に認められます。慢性期には、無為自閉、感情鈍麻、意欲低下などの陰性症状が目立つようになります。病型には、妄想型、破瓜型、緊張型、残遺型、鑑別不能型があります。強いストレスなどにより一時的に統合失調症様の症状を呈することがあるため、統合失調症は、性急に診断せず経過を追うことが大切です。

  治療は、主に薬物療法と精神療法ですが、急性期の治療は、興奮、幻聴、妄想などの陽性症状を軽減し、生活機能の障害を改善することが目的となります。できるだけ通院治療を行うことを原則とします。

    薬物療法は、1996年にリスペリドンが紹介されて以来、錐体外路症状、遅発性ジスキネジア、悪性症候群などの副作用が少ない非定型抗精神病薬が主流になっています。

    セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA) : リスペリドン、パリペリドン、ペロスピロン、ブロナンセリン

    多元受容体作用抗精神病薬(MARTA) : オランザピン、クエチアピン、クロザピン

    ドパミン部分作動薬(DPA) : アリピプラゾール 

  現在、非定型抗精神病薬は、日本で 3種類 8薬剤発売されています。その中でもオランザピン(商品名ジプレキサ)は 1日 1回投与の薬剤であるため、よく処方されています。有用な薬ですが全く副作用がないというわけではありません。オランザピンは「体重増加」と「耐糖能異常(血糖上昇)」という副作用がありますので注意をする必要があります。お薬は服用を続けているうちに身体に馴染んでくるものですが、それでも眠気が強い時は、主治医に報告して減量してもらうことは大切なことです。治療の基本は主治医を信頼することです。主治医とよく話し合って治療を継続してください。     」

 

Cyclennon  Point : 3(1)      130917         Heart  &  Romanticism    By    Cyclennon       

 

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