『神戸"D"フォーラム』~実臨床における認知症診療の問題を解決するために~
株式会社メディセオ 5階会議室(神戸市中央区山本通) 18:30~20:00
「レビー小体型認知症の特徴と治療指針」神戸大学大学院医学研究科神経内科学分野准教授:古和久朋先生
・・・レビー小体の主成分は α-シヌクレイン・・・レビー小体は、リン酸化 α-シヌクレイン免疫染色で茶色く染まる・・・
レビー小体型認知症の中心的特徴「進行性の認知障害」
レビー小体型認知症の中核的特徴 a.認知機能の動揺、b.繰り返し出現する幻視、c.パーキンソニズム
レビー小体型認知症の示唆的症状 a.REM睡眠行動異常(RBD)、b.抗精神病薬に対する感受性の亢進、c.SPECT/PET での基底核のドパミントランスポーター取り込み低下
もっとわかりやすい表現で説明しましょう。
〔レビー小体型認知症の主な症状〕・・・レビー小体型認知症の主な症状として、注意力の低下や視覚認知の障害、記憶障害などの認知機能障害がみられますが、初期から中期にかけては記憶障害が目立たない場合も多くアルツハイマー型認知症のような一般的な認知症だとは認識されにくい面があります。実際には見えないものが見えたり(幻視)、その時々による理解や感情の変化(認知機能の変動)、歩行など動作の障害(パーキンソン症状)、大声での寝言や行動化(レム睡眠行動障害)など特徴的な症状があらわれます。
もっと簡単に説明しましょう。
〔レビー小体型認知症とは〕・・・実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり奇声をあげたりする異常言動(睡眠行動異常)などの症状が目立ちます。また、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン症状がみられることもあります。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することも特徴的です。
〔原因〕・・・脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常な蛋白質の塊がみられます。このレビー小体が大脳に広く現れると、その結果、認知症になります。はっきりとした脳の委縮はみられないことが多いです。
〔症状〕
認知機能障害・・・注意力がなくなる、ものがゆがんで見えるなどの症状が現れます。レビー小体型認知症では、最初は記憶障害が目立たない場合もあります。
認知機能の変動・・・時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーッとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が、入れ替わり起こります。
幻視・・・実際に見えないものが本人にはありありと見える症状です。見えるものの多くは小動物や人で「ねずみが壁を這い回っている」「知らない人が部屋に座っている」「床に水が流れている」などと、具体的です。また、人形を女の子と見間違ったり、丸めてある洋服を動物と見間違うなどの「錯視」もよくみられます。
睡眠時の異常言動・・・眠っている間に大声で叫んだり、怒鳴ったり、奇声をあげたり、暴れたりすることがあります。レム睡眠中に起こりやすいことから、レム睡眠行動障害といいます。
抑うつ症状・・・気分が沈み、悲しくなり、意欲が低下する症状です。抑うつ症状は、レビー小体型認知症の人の約5割にみられるといわれています。
パーキンソン症状・・・動作が遅くなったり、無表情、筋肉のこわばり、前かがみで小刻みで歩く、倒れやすいなどの症状が現れます。
自律神経症状・・・血圧や体温、内臓の働きを調整する自律神経がうまく働かず、身体的にさまざまな不調をきたします。立ちくらみ、便秘、異常な発汗、寝汗、頻尿、だるさなどがあります。場合によっては、めまいを起こして倒れたり、気を失う危険もあります。
〔わかりにくいレビー小体型認知症〕・・・レビー小体型認知症は、患者さまによって症状の現れ方が異なります。また、時間帯や日によって症状が変動するので、正しく診断しにくい病気です。そのため、初めにパーキンソン症状が現れて「パーキンソン病」と診断された後に、記憶障害が出てきてレビー小体型認知症とわかったり、逆に物忘れでアルツハイマー型認知症だと思われた後にパーキンソン症状が現れてレビー小体型認知症と診断されるケースもあります。その他にも、高齢者の場合には、うつ病と診断された後、徐々にレビー小体型認知症の症状が現れることがあります。
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塩野七生を読もう 『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(上巻) ~p.284