ADHDとは?
ADHD ( Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder )「注意欠陥・多動性障害」は、『不注意』『多動性』『衝動性』を特徴とする発達障害です。
『不注意』・・・・・集中して話が聞けない、金銭の管理が出来ない、忘れっぽい
『多動性』・・・・・よく喋る、貧乏ゆすりなど身体の一部を動かす
『衝動性』・・・・・思いつきをすぐ言動にうつす
これらの問題の程度が、非常に強い、あるいは頻度が多いなどで、生活上大きな支障があると判断される場合に、ADHDと診断されます。
ADHDの症状は、大人になって初めて出現するものではありません。ADHDと診断される人は、こうした症状に子供の頃からずっと悩まされています。多くの人は、自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらずなかなか状況が改善されません。そのため、自分自身を責めたり、本人が怠けている、悪気があってやっている、あるいは親の育て方のせいといった非難や誤解にさらされたり、つらい状況に置かれがちになります。ADHDは、本人の努力不足や、家族のせいではありません。ADHDと診断されても、自分の特性を正しく把握し、適切に対応することで、生活を改善していくことができます。
ADHDは発達障害ですが、7歳以前からその症状がみられるものとされています。これまでは、ADHDの症状は年齢を重ねると治まる傾向にあるとされてきましたが、最近の研究では、約60%の人で成人期にも症状が残るといわれています。個人差はありますが、大人のADHDは、子供の頃と比べて『多動性』が弱まり、『不注意』が目立つ傾向にあります。
ADHDの症状を「子供の症状」「大人の症状」で比較してみましょう。
『不注意』・・・・・集中して話が聞けない、金銭の管理が出来ない、忘れっぽい
「子供の症状」勉強などで不注意な間違いをする
課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい
課題を最後まで終えることが難しい
授業や勉強に集中できない
興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい
話を聞いていないようにみえる
人の話を集中して聞けない
課題や活動を順序だてて行うことが難しい
同じことを繰り返すのが苦手
約束の時間にいつも間に合わない
必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい
約束を忘れてしまう
注意が長続きせず、気が散りやすい
部屋が片付けられない
「大人の症状」仕事などでケアレスミスをする
会議に集中できない
忘れもの、なくし物が多い
約束や期日を守れない、間に合わない
仕事の締め切りに間に合わない
時間管理が苦手
外出の準備がいつも間に合わない
仕事や作業を順序だてて行うことが苦手
片付けるのが苦手
家事を効率よくこなせない
金銭管理が苦手
『多動性』・・・・・よく喋る、身体の一部を動かす
「子供の症状」座っているべき時に落ち着いて座っていることが難しい
授業中あるいは勉強中に落ち着かず、そわそわしてしまう
遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい
過度にお喋りをする、自分のことばかり喋ってしまう
「大人の症状」落ち着かない感じ
会議中に落ち着かず、そわそわしてしまう
貧乏ゆすりや机を指先で叩くなどの癖がやめられない
家事をしている時に、別のことに気をとられやすい
お喋りに夢中になって家事を忘れてしまう
お喋りを始めると止まらない
『衝動性』・・・・・思いつきをすぐ言動にうつす
「子供の症状」質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう
順番を待つのが難しい
他の人がしていることをさえぎったり邪魔したりしてしまう
授業中に不用意な発言をしてしまう
衝動的に、人を傷つけるような発言をしてしまう
「大人の症状」思ったことをすぐに口にしてしまう
言いたいことを我慢してイライラする
衝動買いをしてしまう
会議中に不用意な発言をしてしまう
些細な事でもつい叱責してしまう
ADHDの原因について
ADHDの症状の主な原因として挙げられるのが、脳の構造や機能の問題です。
実行機能(自分の注意や行動をコントロールする脳の働き)や、神経伝達物質(脳内の神経細胞の間で 情報をやりとりする物質)の働きに障害が
起きているという説があります。 脳の中にはノルアドレナ リン、ドパミンなど数多くの神経伝達物質が存在します。神経細胞から放出されたノルアド
レナリン、ドパミンなどは、 隣の神経細胞の神経伝達物質受容体に結合して情報を伝達します。 受容体に結合しなかった神経伝達物質は、トラン
スポーターと呼ばれる取り込み口から元の神経細胞に再び取り込まれます(再取り込み)。ADHDでは、トランスポーターが過剰に働き、ノルアドレ
ナリンやドパミンなどの神経伝達物質を再取り込みしすぎてしまう可能性が考えられています。
ADHDの治療について:
ADHD治療の目標・・・職場や学校、家庭での悪循環が好転し、自信を持って自分の特性と折り合えること。
それによって充実した社会生活が送れるようになること。
ADHDの特性である『不注意』『多動性』『衝動性』をなくすることだけが治療の目標ではありません。
治療するうえで大事なポイント
自分の生活の中の困難を理解し、対処方法を身につけていくこと。
周囲によき理解者、サポーターを得ること。
治療を始めても、すぐに変化を感じることができないかもしれませんが、徐々に症状が改善し、悪循環がなくなり、よいサイクルが回り始
めると、少しずつ成功体験を積み重ねることができるようになります。
ADHDの治療には、環境調整などの心理社会的治療と、薬物治療があります。
[ 環境調整 ]
一度にすべてを改善しようとせず、できそうなことから 1~2個選んで、一定期間取り組んでみましょう。
- 用事を先送りにしてしまいがちな人
・・・・・作業を小分けにし、1つずつこなしてみましょう。
- 物忘れが多い人
・・・・・必要なものは玄関やドアの前などの通り道に置いてみましょう
- 失言が多い人
・・・・・頭に浮かんだことをメモに取りましょう
まずは、思いついたことをメモに取り、内容を見直す機会をもうけましょう
- 約束や期日が守れない人
・・・・・スケジュールをわかりやすく表にして、人目につく所に貼ってみましょう
キッチンタイマーなどでアラームをかけるようにしましょう
- なかなか片付けられない人
・・・・・完璧を目指さず、出来ることから手をつけてみましょう
- 衝動買いしやすい人
・・・・・持ち歩くお金を減らし、買い物をする日を決めましょう
[ 薬物治療 ]
ADHDでは脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン、ドパミンが不足しているという説があります。
現在、成人期ADHD治療薬として承認されている薬剤は1剤だけです。2009年6月、注意欠陥 / 多動性障害治療剤 ( 選択的ノルアドレ
ナリン再取 り込み阻害剤 ) ストラテラ ( アトモキセチン塩酸塩カプセル)カプセル5mg、カプセル10mg、カプセル25mg、が販売開始さ
れました。その後、2012年8月、ストラテラカプセルの適応を18歳以上の青年や大人まで含むという適応拡大が承認され、ストラテラカ
プセル40mgが販売されました。この時点で、ようやくADHDが子供から大人まで一貫した疾患であることが公式に認められたことにな
ります。
ADHD ( Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder )「注意欠陥・多動性障害」は、子供の疾患として扱われてきた歴史が長く、大人にも
ADHD固有の治療を必要とするケースが存在するという事実は、なかなか受け入れられずにきました。2012年8月、ストラテラの適応拡大が
承認され、成人期ADHDの薬物治療が出来るようになりました。
Cyclennon Point : 2(0) 131211 DAY 85 Heart & Romanticism By CyclennonDream
クリニックの外は、小雨が降って、冷たい北風。診察依頼の電話も全くかかってきません。とっても、暇な一日。私、毎日、ある程度、喋らないと欲求不満になるタイプです。暇なお蔭で、いっぱい自習ができました・・・・・・。